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<英国チャリティ・レポート>
「緑の処方箋」と成長するコミュニティガーデン
2017年09月21日
注目されるシドナムガーデンの堅実な成長
ロンドンのど真ん中、ビッグベンから10km程、ジョギングにもちょうど良い距離にあるシドナム駅。この地域には「シドナムガーデン—成長するコミュニティ—」の名の下に活動するガーデナーグループがいます。彼らは街の中の放ったらかしにされた空き地に手を入れて、地域住民から愛されるガーデンへと変身させています。2年前の2015年、宅地開発の標的にされつつあった市民農園を所有するデ・フレン通りの住民と契約して、農園を美しい緑地として保存し、チャリティ活動の場とすることに同意しました。この場所はデ・フレン通り・マーケット・ガーデンと名付けられ、リンゴや梨、野菜類を育てて出荷し、着実にチャリティ基金を増やし活動に弾みを付けています。
ガーデンセラピーで好まれる新語「緑の処方箋」
この街のクリニックに勤める医者のジムさんは、患者さんたちに「庭を作らないかい?」と誘います。これがなかなか効果があって、心身共に不具合を感じていた患者さんも喜んで参加するようになりました。ジムさんはシドナムガーデンでも、熱心に活動しています。近頃では、ジムさんと同じ考えを持つ医者が増え、庭作り、畑作りは「緑の処方箋」として、その受け入れ団体(シドナムガーデンなど)は、大病院から医療代を支払われるまでになったのです。外で作業して植物を育てるガーデニングや畑仕事が人の健康回復、健康維持に大変効果があると認められたということです。
街の皆が楽しむチャリティ・イベント
チャリティと言えば英国。その組織形態は実に多種多様です。目的も文化遺産保持、文化活動のサポート、弱者救済、生活向上などなど、社会のあちらこちらに、網の目のようにネットワークが張り巡らされています。記念のプレートには、謝辞と共にサポーターの名が記されていたりして、英国社会の一端を見る思いがします。

シドナムガーデンの夏のイベントは、8月19日(土)に、開園から2年目となるデ・フレン通り・マーケット・ガーデンで開催されました。地元の人たち皆が集まってのんびりする楽しい一日でした。参加者500人、チャリティ金額は51万円。入場料は大人600円、老人と子どもは450円。中ではピザやケーキの販売があったりして、それもチャリティになります。 誰も無理をしないで、子どもから若者、老人、みんながおしゃベリしたり、コンサートを聴いたり、思い思いに時間を過ごしてリラックスしています。
地域社会の要は庭作り
日本でも全国にオープンガーデン組織がたくさん生まれ、洗練されたチャリティも行われています。皆が自然とともにあること、植物を育てることの素晴らしさを実感し、成熟した団体に成長しています。次のステップは、このエネルギーが社会とつながって、地域の連携の要へと成長していくといいですね。
英国でのコミュニティガーデンは、国の医療システムともつながって社会的な意義を持って活動しています。今回の取材写真を眺めていて思うことは、小さなときから草地や花咲く庭を遊び場にしている子どもが何と多いことか。そして、飾らないガーデンイベントに世代を超えて皆が集まる国民性に眼を見開いたことでした。
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