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第8話 「大人気を得たデンマーク花刺しゅう」

2001年02月25日

ビズ2001年の早春号(1月16日)の話題で異色だったのが、ゲルダ・ベングドソンの花刺しゅうでした。気品ただよう野の花を描いた刺しゅうパターン、これが何と100年も世界中で愛されてきたもので、本誌では珍しい手芸ページとしてのご紹介でした。 ビズの取材力(?!)をもってしても、デンマークのうるわしい花の野原を撮影した写真は手に入らず、やむなく他国のシーンを刺しゅう作品に添えることに・・・。ごめんなさい。でも、パターン作家、ゲルダ・ベングドソンの描いた花は、クロスステッチにもかかわらず、見事なまでのみずみずしさで、写実の野の花々に一歩もひかぬ迫力ぶり。庭好き、花好きの多くの読者の皆様から、そして私の友人・知人何人もの人々から、“新鮮だった”“チャーミングたっだ”の声しきり。

ガーデンというもの、絵心を刺激する存在だったと思いませんか? 私はデジタルだけの世界では永久に人の感性は満たされないと思います。花を育て、花を描き、そして100年を経ても色あせない花刺しゅうパターンへと結実させたゲルダ・ベングドソンという女性の人生を想像します。淡々として、静かな喜びがあって、そして充分に自分の仕事を愛せたのではないか・・・・・・。良い人生ですね。

日本では山梨幹子さんが彼女の全仕事を継承し、広める努力をしています。山梨さんにとっても、ガーデン界への作品紹介は初めてのことだったそうですが、過去最大の反響があったと驚いています。まだ、ご覧になっていない方は、ぜひバックナンバーをお求めください。

執筆者プロフィール

ガーデニング誌『BISES』の元編集長。創刊から休刊までの146冊、25年間務めました。1997年流行語大賞トップ10に選ばれた「ガーデニング」は、私が全国に広めた言葉です。これはGARDENINGをカタカナにしたもので、造語ではありません。今では日本語として立派に定着しましたね。