新宿・伊勢丹の7階、レストラン街の窓外には屋上ガーデンが広がっていた。その日本庭園を見渡すパノラミックな眺望は、なかなかドラマチックでもある。遠景のビル街を遮る木々の種類は様々で、実をたくさんつけている柿の木や、枝垂の桜、コニファーのプンゲンストウヒも植わっている。足元には、可憐なナデシコがピンクの花を咲かせていた。日本庭園らしく、水盤、筧、苔むす岩、砂利などの主要アイテムは揃っているのだけれど、この庭にはどことなく破調が感じられる。ささやかではあるけれど、定石を破るデザインセンスが好ましいのである。
地面のそこここから突然ミストが吹き出した。都会の青空にキラキラとしたフィルターがかかる。これは日に何度か定期的に噴出させているもので、地を覆っている苔のための水分補給なのだそうだ。見る者は一瞬で温泉地に立っている気分になる。硫黄の匂いまで漂ってきそうだった。苔は11種類も入っていると聞いたが、その効果は素敵だ。庭の右手、奥行きを見せる小径の始まりのところに、矢尻の形に苔を貼ってある。彩もあり、ムーブメントをはらんで面白い。
この日本庭園はエクステリアやインテリアのデザイン会社「フィールドフォー・デザインオフィス」(渡辺高史さん)と、ガーデン制作の老舗「日比谷アメニス」に所属する水野妙子さんのコラボレーションで完成した。植物の選定や植栽は水野さんの主な領域である。広さは約100坪、完成時期は2020年3月9日。今年11月、「第20回 屋上・壁面緑化技術コンクール」で国土交通大臣賞(特定部門)を受賞した。
地面のそこここから突然ミストが吹き出した。都会の青空にキラキラとしたフィルターがかかる。これは日に何度か定期的に噴出させているもので、地を覆っている苔のための水分補給なのだそうだ。見る者は一瞬で温泉地に立っている気分になる。硫黄の匂いまで漂ってきそうだった。苔は11種類も入っていると聞いたが、その効果は素敵だ。庭の右手、奥行きを見せる小径の始まりのところに、矢尻の形に苔を貼ってある。彩もあり、ムーブメントをはらんで面白い。
この日本庭園はエクステリアやインテリアのデザイン会社「フィールドフォー・デザインオフィス」(渡辺高史さん)と、ガーデン制作の老舗「日比谷アメニス」に所属する水野妙子さんのコラボレーションで完成した。植物の選定や植栽は水野さんの主な領域である。広さは約100坪、完成時期は2020年3月9日。今年11月、「第20回 屋上・壁面緑化技術コンクール」で国土交通大臣賞(特定部門)を受賞した。