「この人、ビズにぴったりだと思わない? 取材に行けないかなあ」
1冊の洋書を持ってスタッフが相談にきました。もう10数年前のことです。聞けばアメリカの片田舎、誰一人その名を知る人も無いおばあさんのターシャ・チューダーでした。やがて数年がたち、文芸春秋社とメディアファクトリーの2社から、ほぼ同時に翻訳本が出版されました。『ビズ』でも、2003年の春号で『美しきスローライフ』として特集。この時のターシャはスイートピーの花束を抱えて表紙を飾っています。
でも、でも、まだまだ、ターシャは知る人ぞ知る存在だったと思います。昨年、NHKが衛星放送でくり返し、くり返し放映し、ついにはゴールデンタイムにも流しました。アア、とうとうターシャもメジャーになっちゃった!
パンジー、クレマチス、シャクヤク、バラなど、『ビズ』が特集する花々には、いつも愛情たっぷりのガーデンシーンとコメントを寄せてくださっていた私たちのターシャ。実は『ビズ』の周りには隠れターシャファンがいっぱいなのです。六本木ヒルズそばにオフィスを持つ、アートディレクターの長友啓典さんもその一人。また、ディズニーランドが大好きな男性ライター氏いわく、「あのダイナミックさ、ターシャの世界は男性の夢そのものですよ」。この間、三重県の古刹、関の地蔵院の庵主、宮本光順さんにお会いしたら、またまたターシャの話題に。「ビデオは何十回も見ているし、本も持っている。ターシャみたいな庭を絶対作りたいの」。日本最古の地蔵菩薩を守り、平成の大修理を成し遂げた尼さんのお言葉です! <関の地蔵に振り袖着せて、奈良の大仏婿にとる>名高い俗謡のスケール感、これって、時代を超越したターシャの超人振りに通じるモノがあるのかな?
第24話 「ターシャ・チューダー人気」
2006年12月08日