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第32話「隠し番号100号、BISESの秘密」

2009年04月28日

今、BISESの夏号を編集しています。巻頭特集はヴィクトリアンのロマンチックな装飾デザインを現代的にアレンジしたローズガーデンです。バラの絡んだオベリスクやあずまやが華やかで、多用されている斜め格子も、英国の伝統を伝えるエレガントなバランス。フラワーガーデンに欠かせない構造物です。日本伝統の四つ目垣を愛でる文化から、この斜め格子の文化を咀嚼(そしゃく)出来るようになるまで、結構な時間がかかったような気がします。

1992年と1999年、BISESは2度も創刊号を出しています。どちらも表紙に刷り込まれた雑誌タイトルはBISES、全く同じロゴでした。最初は婦人生活社で39号まで出版していただき、後半は創刊準備号1冊を含めプレジデント社から。新しいBISESは19号から現在の版元、ベネッセコーポレーションに移り60号を迎えることができました。ちょっとややこしいけれど、つまり、BISESは100号という記念すべき節目を迎えたのでした。

17年前の創刊時もバブル経済がはじけて不景気風が吹いていました。今は世界中が未曾有の経済不況に喘いでいる、と連日のニュース。でも、土に種を播き、花を咲かせ彩りの良い庭を眺める、実を採って食卓で味わう、こんな穏やかな楽しみに不況も何もありはしません。誌面で眺める海外のゴージャスな庭は日常のごたごたを超えたスカッとした美の世界。こんな風景を創り出す人間の偉大さにはいつもながら感動すら覚えます。また、全国各地を訪れて取材するたびに想いを新たにする、日本のフラワーガーデンの普及ぶり。やっぱり花好きの民族だなあということ。とはいえ、2カ月に1度のBISES1400円、お財布に響きますでしょうか? 読み終わって“安い”と感じていただけるよう、これからもがんばります。末永く、ご愛読ください。

執筆者プロフィール

ガーデニング誌『BISES』の元編集長。創刊から休刊までの146冊、25年間務めました。1997年流行語大賞トップ10に選ばれた「ガーデニング」は、私が全国に広めた言葉です。これはGARDENINGをカタカナにしたもので、造語ではありません。今では日本語として立派に定着しましたね。