彫塑家・朝倉文夫(明治16年—昭和39年)は庭と園芸をとても大切にした人でした。東京の台東区谷中にある「朝倉彫塑館」は自ら設計した住居とアトリエを兼ねた建物で、外観からは想像出来ない、異彩を放つ水の庭と屋上ガーデンがあります。平成13年には建物が国の有形文化財に登録され、平成20年には敷地全体が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定されました。
朝倉はここで「朝倉彫塑塾」と名付けた専門学校を開き、門下生には“植物を育てることは自然を見る目を養うことに通じる"と教えたといいます。園芸を必須科目にして、屋上ガーデンを実践場にしたのです。4月、春を迎えた屋上ガーデンにはオリーブの古木がしっかりと枝を広げ、その隣に育つナシの木には白い花がたくさん咲いています。もうすぐ色とりどりのバラも咲き始めます。
2009年(平成21年)から4年をかけて耐震補強を施すとともに、同時に文化財的な価値を高める保存修復工事が行われました。
屋上なのにこんなに大きなオリーブが!誰もが驚きます。右側にスカイツリーが見えます。
4月、ナシの木には可憐な白い花が咲き、やがて小さな実を結びます。
5月にはバラのコーナーも彩りを得て華やかに。※
朝倉彫塑館の入口上で、来館者を見下ろしている彫刻の後ろ姿です。
タイトルは「砲丸」、砲丸投げの選手です。
近年の屋上緑化ムーブメントで、見学希望者も多いこの庭。
タイル舗装、レンガ塀などを用い、現代のビル屋上とは趣が違います。
「朝倉彫塑塾」の塾生たちと屋上で。ブルーズを着た朝倉文夫。
朝倉は明治40年に東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業後、日本の彫塑界をリードする中心的な存在として活躍。昭和23年、文化勲章を受章。※
温室の中には、朝倉の鉢植えの東洋蘭が並んでいました。※
屋上はアトリエ棟3階の上にあります。温室は2階にあり現在は展示室になっています。※
元の温室は「蘭の間」と名付けられ、猫の彫刻が並んでいます。※
※写真は朝倉彫塑館提供
電話:03−3821−4549
最寄り駅:JR日暮里駅(北改札西口)から徒歩5分
入館料:一般500円
開館時間:9:30〜16:30(入館16:00まで)
休館日:毎週月・木(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替え期間
http://www.taitocity.net/zaidan/asakura/